リレーフォーライフ2014福岡がんを知る講演会
リレーフォーライフ2014 in 福岡 がん講習
がんと闘っている患者さんを支援していく活動「リレーフォーライフ」。
イベントプログラムの中に、がんを研究されている先生方の講演会のコーナーがあって、とても興味深いお話を聴くことができました。
片桐豊雅先生と小西宏先生のお二人による解説で、イベント会場の中にある会議室で、約1時間程の講演でした。
がんに対する正しい知識、がん研究に関する活動報告、がんになった時の対応や、これからの心構え等をスライドを交えながら丁寧にお話しいただきました。
会場は、がんを克服された方や、身内でがんになられた方、これから癌にならないために講演を聴きに来られた方でいっぱいでした。
その情報、信じても大丈夫なの?医療情報とうまく付き合おう
まず、小西先生からのお話です。
小西先生は、日本対がん協会にいらっしゃいます。
世間に氾濫する健康や医療情報をどう捕らえ、どう上手につきあっていくかのアドバイスをお教えいただきました。
以前、厚生労働省のニュースで、緑茶をよく飲む人は前立腺がんにかかりにくいといった情報が流れたことがあったそうです。
このニュースを見ると、緑茶を飲めば癌にならないとか、がんが治ると勘違いしてしまう危険性があります。
「緑茶さえ飲んでいれば大丈夫」と勝手に噂が一人歩きしていき、不正確な情報を信用してそれだけを実践していればいいだろうと思ってしまう人が出るということは、ある意味、恐ろしいことですね。
小西先生は、「緑茶」と「前立腺がん」の「相関関係」や「因果関係」がはっきり証明されていないため、あくまで統計として出た結果にすぎないとの見解を示されていらっしゃいました。
健康志向の高い人が、緑茶を飲む人が多い傾向があるようです。
もともと健康志向が高い人は、日ごろから生活や食べ物に気をつけていますし、がんになっても日頃から検診等を受けているので、早期発見につながったりしているのではないかと先生は憶測されておりました。
ですので、健康に関してあまり興味のない人や、日頃から不摂生な生活をしている人が、「緑茶を飲んでいれば、がんにならない」ということではないのです。
一部の記事だけを切り取って、その一部だけを鵜呑みにしてしまうことは危険なのです。
このようなことがのないように、注意が必要です。
「ライターを持っている人が肺がんが多く、持っていない人は肺がんが少ない」という例が、もっとわかり易いかもしれません。
ライターが肺がんの危険因子ではないのは、だれもがわかっていることですよね。
たばこを吸う人はほとんどライターを持っているという事実だけ捉え、たばこが肺がんになる危険因子になっているのに事実を知らずに、「ライター=肺がん」と考えるのは短絡的です。
正確ではない情報を鵜呑みにしてしまってはいけないのです。
思わず、「なるほど~」と思いました。
緑茶は、多くの方から、がん予防効果があると発表されていますが、断定するには、まだ時期尚早のようです。
がん治療は、近年急速な進歩で発展してきているとはいえ、研究には、まだまだ多くの費用と時間がかかるそうです。
新薬が患者さんの手元に届くまでは、長い期間がかかるとのこと。
基礎研究と臨床研究(試験)を行い、医師や支援者の協力を得て、様々な課題をクリアして、やっと患者さんのもとに届けられるそうです。
日本の医学研究を考える~サバイバーと研究者の連携を目指し
次に徳島大学疾患プロテオゲノム研究センターの片桐豊雅先生から、「日本の医学研究を考える」という講演を聴かせていただきました。
そもそも「がん」はどうしてなってしまうのかというお話から、がんの仕組みや、過去から現在に至るまでの治療方法、進化の過程、新薬の紹介等々、時間内には収まりきれない密度の濃いお話でした。
がんになる原因は、いろいろとありまして、煙草・飲酒・ウィルス・ホルモン・食習慣・遺伝等も考えられるそうです。
がんは「遺伝子の病気」で、様々な環境要因や内面的要因によって遺伝子に傷がついた状態のことを言うそうです。
「がん細胞」の説明では、ブレーキが利かない暴走車に例えて、わかり易くご説明いただきました。
私達の身体は、何か身体に負荷がかかったり傷ついたりすると細胞レベルで自分で自分を治そうとします。
でもその修復しようとする働きがある限度を超えると、歯止めが利かなくなり細胞が膨張していきます。
これがん細胞で、周囲の細胞を無視して、驚くべきスピードで拡散していくそうです。
従来の抗がん剤治療では、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも少なからず影響があるため、ホルモンバランスの変化等による副作用をどうしても引き起こしてしまうとのこと。
こういった従来の治療法をじゅうたん爆弾的治療と呼んでいるそうです。
じゅうたん爆弾的治療は、体への負担が大きいので、がん細胞だけを狙い撃ちする、つまり副作用を回避するピンポイント攻撃的治療を、片桐先生は研究されていらっしゃいます。
ブレーキが利かない暴走車を効果的に抑制する方法として、ブレーキが利くようにするための物質(ペプチド)を発見されたそうです。
このペプチドは、ブレーキが利かない原因となる障害をとりのぞき、がん細胞にもくっついて拡大するのを抑制する効果があると仰っていました。
現在は、まだマウスの実験段階とのことですが、今後に大きな希望の光となるお話でした。
このような研究のために、リレーフォーライフで集められた募金が使われているということを、私はこの講演で初めて知り、とても意義深いものであると感じました。
いのち、つなぐ、がん征圧・患者支援チャリティーイベント
講演の終わりには、質問形式でディスカッションがあり、乳がん手術を行ったアンジェリーナ・ジョリーさんの話題がありました。
アンジェリーナ・ジョリーさんが乳房の切除手術を受けたことは有名な話です。
ただ、乳房再建手術を受けていることは、正直、私は知りませんでした。
アンジェリーナ・ジョリーさんは、「乳房再建手術がなかったら、乳がんの切除手術を受けていなかっただろう」とインタビューで話されていたそうです。
実は、この乳房再建手術は、乳房切除手術を受けた全ての人が受けられる訳ではないようです。
費用の面で、一般人には大きな負担になり、国からの援助も充分ではないからだそうです。
女性にとっては、大きな代償と言える乳房の切除、一人でも多くの人が再建手術を受けられる環境になればと思いました。
このリレーフォーライフに参加し、先生達のお話や患者さんたちのお話を聞いて、いろいろ感じることがありました。
個人の力は小さいものではありますが、一人一人の絆がつながって、大きな力になるということを強く感じました。
そのためには、まず、多くの人に「こういった活動がある」ことを知ってもらうことが重要だと思いました。
一人でも多くの人に知っていただいて、「がんをなくす」活動、「リレーフォーライフ」が「がん」は簡単に治せる病気となる日まで継続していけるように、私たちもできることから始めていこうと心に決めました。
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