医療費や保険について分かりやすく解説
医療用かつらの購入費用、保険は利くの?

医療用かつらの問い合わせで、「かつらは保険がきくの?」といったご質問をよく受けます。
「いくらか安くなるの?」、「補助があるの?」、「年末調整で還付金はあるの?」等、さまざまな疑問が当事者になれば、わいてくるものです。
医療用かつらは、簡易的なファッションウィッグとは違い、自然に見せるために精巧に作られています。
そのため、お値段もファッションウィッグより高額になります。
費用を抑えるために簡易的なファッションウィッグを選ぶと、不自然さが目立ち、結局使えないと言って、弊社に来られるお客様が結構いらっしゃいます。
お客様にとっては、高額な医療費に加えて、かつらの費用もかなりの負担となります。
できる限り費用を抑えたいと思うことは、ごく自然です。
医療用かつら費用は、保険がきいたり、国からなんらかの補助があるのでしょうか?
その前に、医療保険や健康保険の仕組みは知っているようで知らないものであり、ぼんやりしていて実際どうなのか、分からない人も多いかと思います。
それぞれの特徴や、しくみ、何に適用されるのか等、私自身も理解できていませんでしたので、調べてみました。
健康保険、医療控除、助成金、医療保険の4つのキーワードにフォーカスして、理解を深めていただくよう、実際にあった事例を混ぜながらご説明させていただきます。
医療用かつらには健康保険が適用されますか?
医療用かつらには、「健康保険がきくのですか?」
皆さんがよくおっしゃるセリフです。
この健康保険とは、国民健康保険や社会保険等の公的な医療保険のことでしょう。
健康保険を使えば、医療用かつらの負担額が3割で済むのではないか(高齢者や子供は2割負担)と思っておられる方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。
いわゆる保険証を提示して、3割負担だけで受けられるサービスのことです。
公的な医療保険である健康保険は、病気や怪我した場合の医療費を保障する制度です。
そして、その適用範囲は、病気や怪我の診療費、薬代、処置・手術費用、認められている入院費用等に限られます。
基本的に、健康保険で認められているものは、治療を行う上で必要であり、なければ治療の妨げになると考えられるものでなければならないようです。
医療用かつらは、病気や怪我等の直接治療のために使うものではないので、療養の給付の範囲外になります。
健康保険証を出しても、医療用かつらを3割負担だけで買えるということは、ないのです。
残念ながら、国からの負担は1円もでないのです。
医療用かつらは医療控除の対象になりますか?
医療用かつらは、医療控除の対象になるのでしょうか。
医療控除とは、かかった医療費や医療器具の費用、それらを年間で支払った税額の一部が還付される国の制度です。
医療用かつら代金は、納めた税金から還付されるのでしょうか。
実は、還付されるものは、医療器具として認定されたものの費用の一部だけとなります。
厚生労働省の薬事法施行令では、医療器具の定義を下記のように記しています。
「人や動物の疾病の診断、治療または予防に使用されたり、人や動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とした用具器械」
治療費や入院費はもちろんのこと、コルセット等が該当するそうです。
不思議なところでは、紙おむつも医療器具として認められています。
一般的に、医師の治療を受けるために必要として購入するものに限ります。
この点から考えますと、義手や義足は、場合によって医療器具ととらえられることもありますし、そうでないともあるようです。
実際に義手や義足を扱っている会社、厚生労働省、税務署に問い合わせてみましたが、義手・義足は医療器具として認められるか否かの回答は、はっきりせず、どちらとも受け取れる回答でした。
医師の診断で治療で必要と見なされれば、義手や義足は医療器具として、認められるようです。
医師がどう判断するかによって、医療用かつらも医療器具として扱われ、義手や義足に近い扱いではないかと思っておりました。
と言うのも、がん患者さんから、医師に「医療用かつらを用意しておくように」と言われたとよくお聞きするからです。
しかし、税務署の方の反応は、義手や義足は認められても、医療用かつらを認めることは、なかなか難しいような感じでした。
現時点では、医療用かつらは、医療器具として認められていないとのことです。
医療用かつらは美容扱いで、外見を美しく見せるもの、信じがたいことに、美容整形等と同じ扱いなのです。
ただ、可能性が全くないわけではありません。
医療用かつらで、医療控除を受けた方も実際にいらっしゃいます。
では、どのようにして受けられたのでしょうか?
医療用かつらが医療控除を受けられる例
医療用かつらで、医療控除を受けられたケースを一部ご紹介します。
脳の手術を受けた、ある患者さんが、頭蓋骨の一部を切り取り、手術後も一定期間は頭蓋骨が欠損している状況となりました。
薄い皮膚以外に頭部を保護するものがない状況では身体が危険なため、医師の要請により、鉄板付きの医療用かつらを作製し、申請したというものです。
医師の診断で、医療用かつらが治療に必要不可欠と判断されたケースです。
このような場合は、医療用かつらが治療器具として認められたことを意味します。
義手・義足・医療用かつらが医療控除の対象となるかどうかは、ケースバイケースです。
これは、私どものお客様の話ですが、確定申告で、がん治療にかかった費用の領収書を提出する際に、「医療用かつら」と但し書きした領収書をいっしょに提出して、受理されたことがありました。
これは、医療費控除の対象と認められたのか、それとも担当者がよく分からず、そのまま受理してしまったのか、定かではありません。
ですので、お客様の結果によってまちまちですが、実際に医療控除を受けられた事例として、ご紹介させていただきました。
医療控除の申請には、証明する領収証が必要です。
但し書きに「医療用かつら」と書かれた領収書を、確定申告時に提出できるよう、1年間大切に保管しておくことをお勧めします。
そもそも医療控除とは何?自治体によっては、医療用かつらの助成金を受けられる?民間の医療保険では対象となる?
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